11
14 2020

レーザーってきれいだな。 それが、研究の始まりでした。

工学部電子情報工学科 藤原 英樹 教授

レーザー光を見て「きれいだな」と感じたことが、大学時代の研究室所属のきっかけになり、今の研究テーマへとつながったという藤原先生。
だから学生たちにも、それぞれが面白い!と思ったことをテーマにして卒業研究に取り組んでほしいと願っています。
自分で考えて、動いて、何かを見つけてまとめる。
その経験が、社会で必ず生きるといいます。

【研究】ランダムレーザーでイメージングやセンサー、光殺菌を

発光デバイスの新規作製法開発とその特性評価をテーマにした研究で、注目しているのが「ランダム構造」。乱雑な汚い構造で、簡単に作製できます。一般的なレーザーでは、乱雑さはレーザー発振を妨げる要因となるのですが、乱雑さはたくさんの光の通り道を必然的に含んでいることから、外からの光を効率よく吸収したり、蛍光灯のようにさまざまな方向にレーザー光を放射したりできます。これらの特徴を生かすと、太陽電池や光触媒などの表面構造として光をよく吸収し、効率よく電気へ変換したり化学反応を起こしたりすることができます。また、ランダム構造中で誘起されるレーザー(ランダムレーザー)は、蛍光灯とレーザーの両方の特性を持つため、ユニークな光源としてイメージングやセンサー、光殺菌などの分野での応用が期待されています。

【研究】きれいで不思議なレーザーを操る技術に挑戦してみよう

省エネなデバイスを作りたい私にとって、ランダム構造は安価な材料・簡単な加工でできることにも大きな意味があります。ただ、乱雑な構造のため制御できないことと、電気駆動はこれからの課題です。研究室では、ランダムレーザーを作り、制御できるようにするためにシミュレーションや顕微鏡による特性の測定などに取り組んでいます。最終的なゴールは学生それぞれの研究テーマの完遂ですが、研究に関する独自の意見が出てくることも期待しています。レーザーは見ているだけできれいですし、簡単に作製した乱雑な構造からレーザー光が出てくる不思議さもある。さらに、乱雑さに少し手を加えると、光を操ることができるアイデア勝負の面白さもあります。アイデアを実験的に実証できるのはうれしいもの。学生にも研究を通して達成感を味わってほしいですね。

【授業】半導体って何? メカニズムを言葉で説明できるように

「電子デバイス」の授業では、半導体の性質や電気特性などを学びます。式を単に覚えるのではなく、半導体中で起こる現象や半導体デバイスが具体的にどのように動作しているのかを、言葉で説明できるようになることが目標です。授業は、基本的に板書とパワーポイントの両方を使って進めていきます。パワーポイントは事前に配布して例題などを解いてもらい、その解説を授業中に行います。また、授業に関係する/関係しない最近の科学的なトピックについてもムービーなどを取り入れて積極的に紹介。関連する最新研究の話題に触れ、実際の応用先なども伝えることで、授業で学ぶ内容の意義が分かるようにしています。そうしたことも、面白そうだなと興味を持つタネにつながってくれればいいなと思っています。

分からないことをそのままにしない。
身につけるべきは勉強のやり方

電子情報工学科の特徴として、就職に強いことが挙げられます。「理系」の考え方などを身につければ、メーカーなどに就職する際に非常に有利になるはず。専門的な内容というより、勉強をするという行為、態度を身につけることが必要です。分からないことがあった時、分からないままにはしない癖をつける。社会に出てからに備えて、大学で身につけるべきはそうした勉強のやり方でしょう。例えば卒業研究でも、研究の取り組み方・進め方だけでなく、遅刻をしない、期日までに仕上げるといった当たり前のことをきちんと当たり前にできるようにするのが大事なところ。そして、やる気のある学生には面白いと思うことをどんどんやってもらいたい。できるだけ自分で考えることが重要で、それも社会に出るための訓練になります。ウチを卒業した学生は、少なくともちゃんとした社会人であってほしいですから。

工学部電子情報工学科
藤原 英樹 教授
[専門分野]光工学、光物理学、顕微分光
[主な担当科目]計算学実習Ⅰ、電子デバイス、電気磁気学Ⅰ・Ⅱ、電子工学基礎Ⅱ

関連記事

NEW

新着記事

カテゴリ