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17 2020

公正かつ自由な競争の重要性を説く。 私は「経済法の伝道者」です。

法学部政治学科 岡本 直貴 准教授

カルテル、談合、独占、知的財産、不当表示...。岡本先生の専門分野である「経済法」に関わる問題は、日々のニュースでひんぱんに取り上げられ、アンテナを立てていればたくさんの情報をキャッチできます。これらの問題にもっと興味を持ってもらえるように、「経済法の伝道者」を自任して研究・教育、さらに情報発信にも力を入れています。

【研究】「経済法」の専門家として国際事件を考え、広く知ってもらう努力も

私の専門分野は「経済法」。初めて聞いたという人もいるかもしれませんが、それならこれは良い機会です。私は「経済法の伝道者」を自任していますから、ぜひ経済法について知ってもらいたいんです。経済法とは、独占禁止法をはじめとする経済・競争政策に関わる法規群の総称です。「公正かつ自由な競争」こそ経済法が守るべき価値ですが、われわれ日本国民がその規範意識を身につけているかというと、まだ心もとないというのが私見です。ですから、「公正かつ自由な競争」の重要性と、この法益に対してれわれが持つべき規範意識について至る所で話しています。研究テーマとしているのは「独占禁止法の域外適用」。経済のグローバル化が進み、カルテルなどの反競争的行為も今や国境を超えて行われています。このような事案に対して、国内法としての適用限界はいかほどか、抵触法・国際法との関係をどのように捉えるか、などを考察しています。

【研究】情報のアンテナを高く立て、頭の中の引き出しを増やすこと

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、マスクと他の商品の抱き合わせ販売が独占禁止法に違反するおそれがあると公正取引委員会は指摘しました。こうした経済法に関わるニュースは多いのに、特に学生のうちは身近に感じられず、なかなか気づけません。ですから、とにかく情報のアンテナを1本、高く立ててほしいんです。そうすると、いろんなところから飛んでくる情報をキャッチできます。最初は頭の中がごっちゃになると思いますが、引き出しは増えます。断片的な情報でも見返したり、つなぎ合わせたりすることで、筋道だった話ができるようになる。われわれが教養と呼ぶのは、そういうことなのではないでしょうか。私も経済法関連の話題などをSNS等で発信しています。専門分野に絡んだ気になることはどんどん増えて、追いつくだけで精いっぱい。ただそれは非常に興味深いことであり、引き出しが増えていくのは研究の醍醐味でもあります。

【授業】独占禁止法をメインに、取り上げる例は有名企業からそば屋まで

「経済法」の講義では、独占禁止法を主として取り上げます。独占禁止法の全体像を把握し、基本的な知識を習得することが目標です。近年、市場における「競争」の重要性が強く意識され、カルテル・入札談合など企業が競争を阻害する事件が注目されています。そこで、独占禁止法の判決・審決例だけでなく最新の動向にも触れながら、具体的な法運用を検討します。経済法は考え方が独特で、法律科目の中でも独学が難しいといわれます。就職後は身近になる法律なので、やっておけばよかったと卒業してから思われるようです。私の講義やゼミを通して、経済法が学生の印象に残ってくれれば嬉しいですね。大事にしたいのは、消費者としての意識。例えば、そば屋の価格がどこも一律になったら、払わなくてもいいお金を払わされている!納得いかない!となるじゃないですか。一生関わることですから、消費者、需要者の観点は常に大事にしたいと思っています。

ようこそ研究室へ! 学生の皆さんからの質問も相談も大歓迎です

大学で学ぶ意味は、好きなことができる、押し付けではない勉強ができるところにあると思います。特に本学は、学生がやろうと思うならサポート体制はいっぱいある。やりたいことがある学生を受け入れる器がどこにでもある、懐の深い大学だと思います。法学部にはさまざまな専門分野の先生がそろっていて、どの先生も学生から声をかけられるとすごく嬉しそうに対応します。そういう環境は、なかなかないですよ。誤解されがちですが、法律学は暗記の勉強ではありません。条文を何回も読むと自然と覚えることはありますが、それが目的ではなく、ものの考え方を知ることが大事なんです。ですから、これはどう考えればいいんですかと学生が研究室へ聞きに来たら、先生たちは大喜びで教えてくれます。もちろん私もそうです。ニコニコで、よく来たな、と(笑)。

法学部政治学科 岡本 直貴 准教授
[専門分野]経済法 [主な担当科目]経済法

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