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17 2020

細胞分裂やミトコンドリアの研究を 哲学的・根源的かつ子どもの発想で。

工学部生命工学科 髙橋 考太 教授

細胞がきちんと2つに分かれるのはなぜだろう。その仕組みを解き明かそうと、髙橋先生は細胞分裂やミトコンドリアの研究に取り組んでいます。研究室に所属する学生たちもミトコンドリアを扱い、卒業研究を進めます。指導方針は、誰も見つけていないことをやってみよう。「たとえ小さなことでも新しい発見があると、うれしいし、楽しいんですよ」。

【研究】「生きているとはどういうことか」。それが知りたいから

生命が自己を複製して増えていく仕組みを調べることを目的に、研究に取り組んでいます。特に、真核細胞の染色体とミトコンドリアが、子孫細胞に均等に分配される分子機構に興味を持っています。細胞がきちんと2つに分かれるのが不思議でしかたなくて、「自分と同じものを作り出す仕組みはどうなっているのか」「生きている状態とはどういうことなのか」と、高校生ぐらいからずっと思ってきました。その答えを知りたくて、細胞分裂の仕組みやミトコンドリアの研究をしているわけです。私は理学部出身なので、何かに活用しようという発想で研究しているわけではなく、聞こえよく言えば哲学的で根源的、率直に言えば子どもの発想で取り組んでいます。ですから、小さなことでも新しい発見があるとうれしいし、楽しい。一方で、例えばミトコンドリアは老化の仕組みとも関連しているため、機能を調べて形の変化などを追ううちに、人の健康につながるヒントが出てくるといいなとも思っています。

【研究】ミトコンドリアを蛍光色に光らせて高性能の顕微鏡で観察

ミトコンドリアは、私の研究室に所属する学生も卒業研究で扱っています。そもそもミトコンドリアは、見るとすごくきれいで面白いんです。生物の教科書に載っている図のような形だけではなく、融合したり分裂したり、形をいろいろ変えて動いています。研究では発色遺伝子を組換え、そのままでは目立たないミトコンドリアを蛍光色に光らせ、高性能の顕微鏡で動きや形の変化などを観察します。実験材料に酵母を使うと短い期間で結果を見ることができ、アイデアが浮かんだらすぐ試せるのも面白さです。学生には、小さくてもいいので誰も見つけていないことをやってくださいと話していますが、実際に新しい発見が毎年必ずあります。既成概念にとらわれない学生のアイデアから、私がプロとして面白いものをすくい取り、ユニークな研究ができるよう指導していきます。研究は面白かったと言って卒業していく学生が多いですね。

【授業】DNA抽出や遺伝子組換え操作を行う実習も。学生たちは興味津々

「バイオテクノロジー実習Ⅰ・Ⅱ」は、バイオ系教員が交代で担当し、各教員の専門分野のバイオ技術や先端知識を基礎から解説・指導します。学生各自の細胞からDNAを抽出し、アルコールの分解遺伝子の配列を調べて、自分がお酒に強いタイプか弱いタイプかを確認する実験や、クラゲの発光遺伝子を人工的に組み込んだ自然界には存在しない「光る大腸菌」を作る実験などがあります。私の実験では、細胞分裂が正常にできなくなった酵母のミュータントに、DNAが緑色に光るような遺伝子組換え操作を行い、異常分裂の原因を調べます。細胞が大きくなり続けたり、DNAが均等に分かれなくなったり、さまざまなミュータントを使うので、遺伝子に異常が生じると何が起こるのかが実感できる実習になっています。

自分の頭で考えれば、ユニークなことができる能力はみんなにある

本学の生命工学科は、バイオ系と情報系の先生が半々の珍しいタイプの学科です。しかも、それぞれがガチな専門の先生たちで、世界的な成長産業といえる分野を2本柱で学ぶことができます。いろいろな視点からいろいろなことを学んで、選択肢を広げられるのはいいなと思います。学生と先生の距離が近いことも特徴で、特に卒業研究は濃いインタラクションが可能です。卒業研究の発表会を行うほかにも、コミュニケーション能力や発表能力を培う機会があり、学生たちは成長していきます。私としてはさらに、自分なりのユニークなものの見方も身につけてほしい。それは学問の世界でも、社会に出ても評価されます。自分の頭でちゃんと考えれば、ユニークなことができる能力はみんなにある。ここで、それに気づいてくれたらと思います。

工学部生命工学科 髙橋 考太 教授
[専門分野]分子遺伝学 [主な担当科目]分子生物学Ⅰ・Ⅱ、生命工学倫理、バイオテクノロジー実習Ⅰ・Ⅱ、生物学実験、化学実験

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