#生命工学科 #研究:どうすれば人のパフォーマンスを上げることができる? #分野:「心」を数値化

工学部生命工学科 教授 鈴木 聡士

|研究|退屈な時間に超集中・リラックス脳波が出現

音楽を聴く、暇な時間を過ごす、ほめる、指先の手入れをする、姿勢を工夫する、などなど…さまざまな取り組みが、人のパフォーマンス(記憶力や集中力の向上)にどのようなプラスの効果をもたらすのか明らかにすることを研究の目的にしています。これが明らかになると、例えば良いアイデアを出したい時、勉強の成果を高めたい時など、実際の場面で参考にできます。学生が取り組んだ研究に「退屈な時間はクリエイティビティを向上しうるか?」というテーマがあります。ぼーっとした退屈な状況と、スマホを使っている状況で一定時間過ごしてもらっている最中に、脳波を測定。この時、超集中でリラックスしている時に多く出るα2波の出現率を比較します。すると、明確に、退屈な時間を過ごしている時の方が、スマホを使っている時よりも、より多くα2波が出現しています。また、退屈な時間を過ごした後の方が、より多く独創的なアイデアを出せることも明らかになりました。

|研究|興味のあるテーマを選んで「数字」で明確に

このように、脳波などの生体的側面と意識調査などの心理的側面から複合的に評価し、どのような状況で人はよりパフォーマンスを高めることができるのか、数字で明らかにするのが本研究室のポイントです。数字で表すことで説得力が増し、どうすることが良いのかが明確になれば、工学的な提案も可能になります。テーマは学生が興味のあるものを選びますが、首尾一貫しているのは人に役立つ結果を出せるかということ。日常生活ですぐに活用できる結果が得られる点が、この研究の魅力です。特に、仮説を立ててそれを実証できた時、あるいは仮説が外れて新発見があった時もとても面白いです。

|教育|部活やアルバイトなど人間関係にすぐ役立つ知識も

個人、対人、集団、社会の4つのレベルでの心理の基礎を学びます。さまざまな状況における人間の心理特性を理解し、その知識をより良い社会生活を送るために活かしてもらうことがねらいです。講義の中では、スマホ依存症など心理に関わる我々の研究室の研究成果もできるだけフィードバック。また、学生と向き合ってパーソナルスペースの存在を体験してもらうなど、簡単な心理実験も織り交ぜています。例えば、電気ショックを与えられるのを待つとしたら、1人と集団のどちらを望むか。学生に挙手で模擬的に選んでもらうと、不安な時に人は人と親しくなりたいという心理メカニズムが働くことを目の当たりで知ることができます。人の心理を知ることで、現在の人間関係から将来の仕事の場面でも、実際に役立つ知識が得られます。

工学部生命工学科 教授 鈴木 聡士
学生の興味にできるだけ幅広く応えるのが私の研究室のスタイル。卒業研究テーマは学生本人が興味を持っていることと、それが自分の将来に役立つことをポイントに決定します。けじめをつけながら楽しく、大学院生も含めて意見を言い合い、助け合って研究を進めます。

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