<図書館学課程> 図書館も司書の仕事も 変化を受け入れ 後世につなげる。
子どもの頃から読書が好きだったという神内さん。入学後に参加した資格関連の説明会で図書館学課程の存在を知り、将来の選択肢が増やせたらという気持ちから履修を決めました。3年次には、「全国大学ビブリオバトル」に北海道代表のバトラーとして出場。図書館司書の採用面接時には、この経験からも話が広がったそうです。北海道立図書館の司書として働くことが決まった神内さんにお話を聞きました。
実学ではない学びが教えてくれること。
進学先としてなるべく学費を抑えられる大学を探している中で、本学の夜間部を見つけました。人文学部を選んだのは、何を学び、何をしたいか、何になりたいか、自分自身の将来像がはっきりしていなかったので、あらゆる分野について学ぼうと思ったからです。宗教や哲学、思想などに興味があったので、実学ではない学問を探究できる人文学部の学びに興味がありました。
人文学が実学ではないということは、「人文学概論」でも教わりました。しかし、人文学部の学びは、歴史や文化などを通して先人の積み重ねたものを理解したり、俯瞰的視点が得られたり、現代社会を生きる上で必要な力を与えてくれる学問だったと思います。
小学生の頃から本が好きで、漠然とではありましたが、将来は本に携わる仕事に就けたらという思いもありました。なので、大学入学後に行われた資格関連の説明会で図書館学課程の存在を知り、将来の選択肢を増やすくらいの気持ちから履修しようと決めました。図書館学課程では、図書館が保障する権利や図書館の存在意義から始まり、基本理念や助成の仕組みまで、図書館にまつわるあらゆる側面を学びました。

4年次の夏には、任意参加の実習に参加。隣に中学校がある地域密着型の公立図書館で、一週間ほどカウンター業務などの経験をさせていただきました。そこで、図書館は本を借りたり本を読んだりする場所というだけではなく、人が集う場所としての役割もあるのだと実感。図書館といっても、収蔵本の内容や規模、立地によって役割に違いがあると気づく経験になりました。
得た知識を精査して自分で考えることを大切にした北海学園大学の学びは、司書の仕事にも繋がっていると感じます。ひとつのニュースや事象も、歴史を踏まえ、報道によってバイアスがかかっている可能性を考慮しながら角度を変えて見ることが大切です。例えば、歴史も記録を書き記した人がいるからこそ後世に残るのだと、「歴史学」などの講義から学びました。そんな視点で考えたことはありませんでしたが、記録者もあくまで人であるため、その記録にも主観やバイアスが含まれている可能性を常に検討しなければならないと思います。
卒業後は、北海道立図書館の司書に。
田中綾先生のゼミの一環で、3年次に「全国大学ビブリオバトル」の北海道代表として出場しました。ビブリオバトルとは、バトラー(発表参加者)が推薦する本を紹介し、バトラーと観客が一番読みたくなった本を決める書評合戦のコミュニケーションゲームです。モノクロ好きの私がおすすめしたのは、パンダのイラストの表紙に惹かれて買った『大きなパンダと小さなドラゴン』でした。東京の昭和女子大学で行われた「全国大学ビブリオバトル」は、緊張しすぎて言いたいことの半分も言えず、結果は落選……。しかし、こればかりは人前に出ないと克服できませんから、とてもよい経験になりましたし、ほかのバトラーのプレゼンテーションで、自分では決して選ばない本と出会うこともできました。そういえば最近、北海学園大学にビブリオバトルを行うサークルができたみたいです。
卒業後は、北海道立図書館の司書になります。司書の求人数は少ないので、募集が出なければ、一般企業に勤めるつもりでした。ところが運よく求人募集が出たので挑戦し、北海道立図書館の司書として働けることになりました。
とはいえ今は、図書館や司書の存在意義が疑問視されているように感じます。今の業態のままでは、私が生きているうちに、図書館や司書の仕事は必要なくなってしまうかもしれません。情報は、ネットでいつでもどこでも手軽に入手できますし、本を探すのもコンピュータで検索すれば一瞬で見つけられます。そんな時代だからこそ、図書館として司書として、できることを新たに探していきたいです。変化の時代に司書の一員になるからには、変化を受け入れ、また変化を与えて、次世代へ図書館をつなげていかなければなりません。

電子辞書や資料の電子化、いずれ司書の代わりになり得るAIなどの動向にはアンテナを張っていくつもりです。AIは、いわば商売敵。無駄に敵対しないためにも、関わり方を学ぼうと思います。また、図書館の歴史やイデオロギーを正しく理解しないことには、それを存続させることも手を加えることもできません。ですからこれからも、図書館学という学問と向き合っていこうと思います。
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