ゴールがあれば、苦手科目も楽しめる!?

まだ保育園に通っていた頃だったと思います。母が勤めていた大学のイベントで、魚の解剖を体験する機会がありました。初めて生き物の解剖をして、すごくワクワクしたのを覚えています。実験器具に触らせてもらったり、自宅でも当たり前に生き物を飼ったりするような環境で育ったので、将来はきっと研究職の道に進むことになるのだろうと思っていました。

幼い頃に北海道に住んでいたこともあって、北海道の大学を視野に入れていました。その際に、北海学園大学の生命工学科を知り、生物系を学びながら、情報系も勉強できることが決め手になりました。将来は研究者か教員になりたいと考えていた私にとって、研究するにしても自分でプログラミングができれば強みになるし、学校教育の現場でも重視されている情報系の知識は、いずれ必要になるだろうと思っていました。

実際に入学して感じたことは、先生がすごく親切なことです。わからないことがあれば、快く答えてくれますし、勉強以外にも困ったことがあれば気軽に相談に乗ってくださいます。工学部に関しては実験器具がそろっていることも魅力だと思います。そのため、一部の分野を除いて、ある程度の実験はできると思います。

大学生活を振り返って、自分でも頑張ったと思うのは英語です。実は高校生のときから英語が苦手でした。しかし、研究職に進むのであれば英語は避けて通れません。3年生の2学期に科学技術英語という科目を履修しました。この科目ではライフサイエンス分野の論文で頻繁に使われる単語や熟語、文章表現を学習します。毎時間小テストがあり、そのために、事前にプリントが配布される資料をひたすら丸暗記するようにしました。最初の頃は、書いて覚えるというのを繰り返して、完全にマスターするのに6時間程度かかりました。それがだんだんコツをつかめてきたのか、最後には1時間もかからずに覚えられるようになりました。努力すれば努力するほど、確実に点数が伸びたので、やっていて楽しかったです。明確なゴールがあるので、ひたすらそこへ向けて突っ走るだけです。そのため、苦手なはずの英語でしたが、楽しんで勉強に打ち込むことができました。

答えがないから、実験が好き。

卒業研究では、分裂酵母の細胞質に関する研究を行っています。簡単にいうと、細胞質の硬さ・流動性を調べるために、細胞内の微小管という、人間でいうところの骨のような構造を破壊して遠心分離機にかけたときに細胞の核がどう移動するのかをみています。流動性が変化するのはタンパク質の熱変性が影響しているという先輩がたてた仮説を、私は実験を通して検証しています。

卒業後は大学院に進学します。大学院では、地域の特産物をPRするために、遺伝子解析の研究に携わる予定です。大学院に進学したいと思ったのは、大学4年間の中でいろいろな実験をして、やっぱり私は手を動かすことが好きだ、実験が好きだと実感したからです。

ある実習科目で、「答えのない実験をする」機会がありました。答えがあらかじめ用意されているわけではないので、簡単にはゴールにたどり着けないけれど、これが研究なのだろう、その世界の端っこに立てたのかなと思うと、やはりもっと研究をしたいという気持ちが強くなりました。

答えのあるものは、答えにたどり着けばうれしいし、達成感があるから楽しいには違いないけれど、答えありきの世界はそこまでなのかなと思います。答えのないものに対して、こういうことが考えられるぞと仮説を立て、それを明らかにしようと実験してデータを取り、思うようなデータが得られなかったら仮説に立ち返り、良い結果が出たらまた次のテーマが出てくる。その繰り返しの方が、ずっと面白いと思います。

4年間を振り返って、大事なのは大学で何をしたいか、何をするかだと思います。せっかく希望の大学に入っても、勉強しなかったらもったいないですよね。大学生活は、入ってからの行動で意義が変わってくるのかなと今は思います。