トルコに注目することで考える 世界の政治の過去・現在・未来。
比較政治学の手法を用いながら、トルコに注目した研究に取り組んでいる岩坂先生。年に3〜4回はトルコをはじめとして現地へ出かけ、インタビューや資料収集をし、人や街も観察。現地でしか経験できないにおいや空気感を自分の中に蓄積させていくことが、トルコについてより深く理解し、世界の仕組みの一端を知ることへとつながっていくそうです。
【研究】時間的・空間的な比較をしながら政治現象の「なぜ」を分析
研究テーマは、トルコを事例とした「民主主義の進展と後退」。研究を通して対象国(トルコ)や自国(日本)を含む国際社会における政治の「過去」だけでなく「現在」や「未来」のありかたについて考えることができ、物事を批判的に考察・分析する能力を身につけることにつながります。国際社会の中でトルコはどう位置付けられているのか、トルコで起こっていることは世界の中でどういう意味があるのか。そうしたことを考える時には、同じ国のほかの時代、同じ時代のほかの国など、時間的・空間的にいろいろな比較をしてみると位置付けがはっきりし、意味合いが出てきます。比較政治学では、なぜこれが起こったのかといった「なぜ」という問いをたてて答えていきます。いろいろな研究者の答えから原因と結果がある程度分かってくると、未来についてこうしたいとかこれを避けたいという時に、過去の法則のようなものを現在に使うことができます。その視点が、比較政治学の面白いところ。世界各国の出来事や人々が織りなす政治に通底するものを見つけられることも魅力です。
【研究】現地で見たり聞いたり感じたりすることが、深い理解へ
トルコはヨーロッパと中東・アジアの間にあり、文化的・宗教的にもその中間に位置している国です。政治とはそれだけを切り離せるものではなく、社会や文化などいろいろなものが混じり合っているので、どうしてもそれ以外のところも見て考える必要がある。本来の目的の周辺も見たり聞いたり感じたりすることが、より深く知る、理解するということにつながるんだと思います。そして、世界の仕組みの一端を知ることもできるわけです。コロナ禍で現地調査は難しい状況ですが、海外の研究者とはインターネットでつながっていて、研究のベースはやはり人同士のつながりだと思います。インターネットだけで新しい人間関係をつくるのは難しくても、既にある人と人のつながりをもっと広げることはできる。ただ、状況が落ち着けば、もちろん現地を訪ねたいです。
【授業】理論と事例を組み合わせて考える。経験談や写真も教材です
「比較政治学」では、さまざまな国で生じている政治的な出来事を比較し、そこから普遍的な理論を導きだそうとする比較政治学の手法を学びます。また、民主化や内戦などのトピックに関する主要な理論の概要を学ぶことで、現代国際社会をより深く理解するための視点や考え方の獲得を目指します。各トピックは《理論編》と《事例編》の2回で1セット。例えば民主化がトピックなら、まず《理論編》で民主化とはどういうことか、なぜ起こるのかなどについていろいろな研究者の意見を紹介。次の《事例編》ではピックアップした事例を深く見て、前回学んだ理論を当てはめて考えます。実際に起こっていることをどう捉え、理解するかが理論なので、理論と事例を組み合わせて進めています。トルコをはじめ私が行った国で見聞きしたことや写真、あるいは映像や音楽などもできるだけ交えて紹介します。
どんどんいろいろ吸収して、自分なりの考え方、ものの見方を
政治学科には、バリエーションに富んだ第一線の研究者がそろっています。1年次の「政治学入門」では政治学科の先生たちが各専門の授業をひと通り行うので、その後の履修科目を選ぶヒントになります。いろいろな先生たちの考え方やものの見方に触れて、自分なりの考え方、ものの見方を4年間で身につけてもらえたらと思います。海外のことをとても遠くに感じている学生が多い印象なので、もっといろいろあるよという提示もしたい。行こうと思えばフットワーク軽くすぐに行けちゃうということを、感覚的に知っておいてほしいんです。ほかも見た上で、何を選ぶかは学生次第。「この間イスタンブルに行ってきたら」とか私の口から聞くことで、多少なりとも海外を身近に感じてもらえたらと思っています。
法学部政治学科
岩坂 将充 准教授
[専門分野]比較政治学、現代トルコ政治研究、中東イスラーム地域研究
[主な担当科目]比較政治学
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