誰かを好きになるのはなぜ? 人の心理から、経営の極意が見えてくる。
会社での人間関係、商品開発や販売etc.すべてに人の心理が影響
―経営学部で心理学を学ぶというのは少し意外です。
企業や組織にはさまざまな人が関わっていますから、うまく経営・運営しようとするなら「人」を知らなくてはなりません。そこに心理学が役立つわけです。私が専門としている社会心理学では逆に、企業や組織が人にもたらす影響や、それらに所属する人同士がそれぞれに与える影響も考察します。時と場合によって人はどう行動を変えるか、偏見や差別はなぜ起こるかといったことにもアプローチします。
―商品の開発や販売にも心理学は応用できますか?
はい。社会心理学では、何をなぜ買ったのかという人の行動を調査分析する上で、社会的な背景も大切な要素として考慮します。例えば、デオドラント商品は、以前は良い香りがするものが売れていました。ところが、最近は無香料のものが人気。なぜでしょう?使う人が少数だった時にはそれほど気にならなかったのが、大勢が使うようになると香りだらけで不快に感じる人も出てきます。そうなると今度は迷惑をかけないように無香料を選ぶという気遣いが生まれます。ものを選ぶ行動には単に好き嫌いや思いつきではなく、こうした例のように人と人との暗黙のつながりが隠れていたりするのです。
―会社での人間関係にも役立ちそうです。
心の仕組みを学んでおくと、会社や地域での人間関係、家族関係の悩みなど、その問題を解消する手助けにもなりますね。好きな人ができた時にどう告白すればいいだろうとか、友達とぎくしゃくしたのは何が原因なんだろうなど、身近な問題も100%の正解ではないかもしれないけれど、ある程度の解答は得られます。仕事でいえば、取引先とのコミュニケーションをスムーズにするのにも有効に働くでしょう。人は人との関わりから逃れて生活はできないですし、一人でいる時だって自分の内面との関係は存在します。心理学を知っていれば、いつでもどんな場面にも、ある程度コミットすることができるようになります。
考える力をつけて、自分自身の価値を高める4年間に

―先生の講義やゼミは凄く身近な切り口から学ぶとお聞きします。
そうですね。私はいつも身近なことを題材にするようにしています。「恋愛の好きと、友達としての好きはどう違うのか」といったこともテーマにしますし、「目が大きく鼻が小さいベビーフェイスなキャラクターやアイドルが、なぜビジネスにつながるのか」といった経営学に関連したテーマも扱います。実は、私が心理学に興味を持ったのは浪人生の頃。高校時代まではあまり上手に人間関係を築けなかったんですが、予備校ではさまざまな人と仲良くなれて、それはなぜなのか、という疑問が入口でした。私が身近なことをテーマにするのは、私自身の体験によるところが大きいですね。
―いろいろある心理学でも内容は先生によって随分違う?
理論からアプローチする講義もありますし、現実的な経営や組織、マネジメントにふれる講義もあります。私が担当する社会心理学はビジネスに直結するものではありませんが、学んだことが社会に出てからの体験と結びつく瞬間がきっとあるはずです。後からじわじわと効いてくる学びというのもあるんですよ。
―興味・関心に合わせて学べる環境があるということですね。
多様な学び方を支援しているのが経営情報学科だと思っています。希望すれば経営学科のゼミにも所属できますし、英語教育も充実していますから、ビジネスのレベルを超えてスキルを上げることも可能です。実践的な会計を学べるのはもちろん、経済学部を併設するメリットとして経済学の観点から経営を学ぶといったこともできます。広く心理学を学べるようにしているのもその一つだと考えています。
―社会で使えるスキルがいろいろ身につけられるのは心強いです。
その気になればいろんな力が身につけられるって良いですよね。大学4年間の学びは、自分自身の価値を高めることにあるわけですから、経営情報学科の学生たちには前向きな姿勢で学んでほしいと願っています。私が教える社会心理学とか、そうした知識を土台として、さらに自分自身で考える軸を身につけてくれたらなおさら嬉しい。社会に出た時にしっかりと自分の足で立ち、豊かな人生を送ってほしいです。
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