どううまく生き残っていこうか。 生き物の作戦ってスゴイ!!
バイオと情報。社会を切り開く二つの武器を手に
―バイオも情報も学べる学科というのは、あまり聞かない気がします。
そうですね。2本柱で両方を勉強できるので、学びたいことがまだ決まっていなくても、学びながらやりたいことを見つけられる利点もあります。2分野の中でも、研究内容にバリエーションがあるのも魅力だと思います。それに、教員と学生の仲が良いことも特色の一つ。生命工学科は2012年に開設された工学部で一番新しい学科で、その時点からそう意識してきたためでもありますが、もともとの教員の性格というか、学生好きだというのもあるかもしれません。1期生の歓迎会を開いて以来、毎年4月初めに新入生歓迎会がありますし、就職が決まった4年生が3年生に就職活動について伝えるイベントなど、学年をまたいで行うものも多いんですよ。
―2本柱で学ぶことのメリットを挙げていただくなら?
やはり就職に強いことでしょうか。武器が二つあるということだと思うので。それに、情報はこれからいろいろな分野のベースになる技術。生物でも遺伝子の配列のデータをネットワークから得て、それで遺伝子解析をしたりしますし、これからの活躍には両方の知識が必要でしょう。
―生物が好きという学生がやはり多いのでしょうか?
1年次にアンケートで、生物学が好きですか、生き物が好きですか、と別々に聞いていますが、生き物は好きだけれど生物学は好きではないという学生もいます。その気持ちはよく分かって、私も受験の生物は暗記科目のようで本当に生き物を勉強しているのか疑問に感じ、そんなに好きではありませんでした。でも、実際に研究をしてみると全然そんなことはなくて、どう生き残っていくのか、どう子孫を残すのかという生き物の作戦を生態系レベルや分子レベルで調べたりするのがとても面白い。授業で生物ってスゴイ!ということを伝えて、もっと好きになってもらえたらいいなと思います。
―生物のすごさが分かる機会をつくってくれるということですね。
そうしたいと思っています。授業では、出席確認の用紙に質問をなんでも書いてねと言っています。それを全部まとめて、次の授業でスライドにして出します。例えば、ゲノム編集の食品について新聞で読んで心配になった、といった質問を取り上げて解説もします。そうすることで、生き物に関係する身近なものに興味を持って、自分で考えたり、もうちょっと知りたいと思ってほしいんです。
植物の“親子鑑定”で北海道の生態系を守れ
―植物と環境をキーワードに研究されていますが、研究室の学生と一緒に進めていくのですか?
はい。今、取り組んでいるのは外来植物。海外から来た木材や船などにくっついて植物が入ってきてしまうんです。北海道にはせっかく独自の豊かな自然があるのに、よそから強い植物が入ってくると生態系が崩れてしまう。それで、外来植物がどう広がるのかを追跡するため、各地でサンプルを採って遺伝子を解析し、親子鑑定に近いことをしています。拡散の経路が分かれば、防除する計画にも役立つので、学生とあちこちへ行って採取したり解析したりしています。
―研究を通しては、何を身につけてほしいと思っていますか?
物事を論理的に考えることですかね。ゴールから逆算して物事を考えるのは、理系のベースになっていること。渡したテーマを私の言う通りにやるのではなく、学生が自分で考えてやってみるよう促しています。
―それは、授業ではなかなか味わえない部分ですよね。
卒業研究のまとめの時には、だいたいの学生が「もうちょっとやりたかった」「ここからが面白いところだったのに」と言ってくれます。自分でものを考えて調べることの楽しさが、少しは分かってくれたのかなと思います。研究は楽ではありませんが、楽なのと楽しいのとは別なので、大変だったけれど楽しかったと思ってくれるといいですね。
―改めて、先生にとって生物の魅力はどんなところなのでしょう?
なんだろう…。生物って、実はみんなすごく必死で生きているんですよ。すごいな、当たり前じゃないんだなというところですかね。知れば知るほど、よくできてるわー!って思います(笑)。
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