ここはいろんなことができる場。 さあクリエイティブにいこう。
専門的かつ複合的な視点で建築を学ぼう
―建築学科の学びは、大きく3分野に分かれているんですよね。
そうです。まず環境デザイン系は、設計・計画をする上で人々が建物の中で暮らす快適性!を追求する。空間デザイン系はまさに計画の部分で、建物を設計していくことを学ぶ。そして僕の専門のシステムデザイン系は構造と材料で、実際に建物を実現していく施工の部分も学んでいきます。本学としては、計画していく上で必要なスキルをまず身につけるところに重点を置いていますが、同時に、学生は3分野が複合して建物はできていることや不具合の事例なども身につけていかなければなりません。そのため、各分野の視点から、担当の先生が経験をふまえて話をしていくので、学生は3つの観点から知識を吸収することができます。
―企業など外部でのキャリアがある先生も多いとか。
ええ。ですから、それぞれの専門分野を持ちながら、建築は複合的なところでできていることをよく分かっている先生が多いと思います。専門的かつ複合的な視点で学べるのが、この学科の魅力だと思いますね。
―先生の専門のシステムデザイン系分野の面白さといえば?
システムデザイン系の構造と材料では、それぞれまったく役割が違います。構造は、日本では一番重要な耐震性を考えて、建物をどう組み立てていくかを計算的に明らかにしていく分野。材料は、それを実現するための骨組みも内部の空間を形づくるものもいろいろあって、その人の使い方によってすごく幅が広がるのが面白いところだと思っています。法律で定められた基準などを守る上で、材料は一つの表現方法としても使えますし、建築は一つのものでは絶対にできないので組み合わせが必要なところも面白い。先人たちが単一の材料について、こういう使い方をしたらこういうことが起きると明らかにしてきましたが、新しい使い方をした時には違うことが起こる場合もある。研究者としても、新しい視点でどんどん見ていける分野です。
―学生もそういう面白さを感じてくれるといいですね。
学生たちは卒業後、多くが技術者として活躍していくわけですから、技術的視点を持つことも必要です。建物についてこういう事例があるから、こういうふうに複合したらこういうことが起こるだろうという予測力、想像力を身につけてほしいですね。それが、建築力だと考えています。材料によって、その空間を技術的視点からさらに豊かにすることもできるんです。
五感を使い、海外で異文化にも触れてみよう
―先生は、建築物の調査診断を研究テーマにされているんですよね。
建築物を長く美しく使っていくには、どんなことが必要なのか。既存建築物の調査を通して明らかにする研究をしています。学生も一緒に調査に取り組むので、実際の建築物に触れて劣化の状態などを見ることができます。
―授業でも体験してみることを大切にしているとお聞きしました。
例えば建設中の大規模なビルの現場に、学生たちを連れて行くこともあります。いろいろなものを実際に見せたり、やらせてみたりすることを重視しています。そうした体験の中で、学生自身が気づくということがすごく大事なんです。大学は目指したものを学ぶ場ですが、自分を見直して新たな刺激を感じたり、方向性を決めたりしていく場でもあるので、気軽に参加して興味のきっかけにできるものをどんどん発信していきたいと思っています。
―将来、建築に携わる者として力を発揮するには、4年間をどんなふうに過ごせばいいでしょう?
当然、大学の授業に出てください(笑)。それと、これは建築に限ったことではないんですが、大事なのは自分の五感を使うこと。何かを体験した時にも、自分はどういう感想を持ったかというところを大切にしないといけない。そして、自分の五感で感じたことを、きちんと表現できるようになることがすごく重要です。僕は、海外へ行って違う文化に触れることを勧めています。
―高校までと大学では、大きな違いがありますね。
ですから高校生のみなさんには、大学に入ったらすごくいろんなことができますよと言いたいです。自分から動いて、クリエイティブに関わっていってほしい。勉強を頑張ろうというだけではなく、視野を広げていくことを意識して、4年間を過ごしてほしいですね。
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