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10 2020

#生命工学科 #研究:人型インタフェースの開発 #教育:人とコンピュータ

工学部生命工学科 准教授 長谷川 大

身ぶり手ぶりがなければスピーチは伝わりにくいより自然なインタフェースの実現に向けジェスチャに注目!

|研究|機械とのコミュニケーションを人間同士のように

「Siri」「GoogleHome」など自然言語を使って対話的に操作できるコンピュータ・インタフェースは、身近なものになっています。コンピュータ・インタフェースの歴史をたどると、最初は専門的知識を必要としたCommandLineInterface(CLI)でしたが、より直感的に「誰でも」操作可能なraphicalUserInterface(GUI)に進化しています。
 現在は、よりユニバーサルなインタフェースとして、あたかも人間同士のコミュニケーションのように機械を操作しようとするNaturalUserInterface(NUI)の研究が進められています。
人型のインタフェースは、ロボットやコンピュータ・グラフィックスで描かれたキャラクタが、自然言語を理解・生成するだけでなく、表情や視線、ジェスチャ、姿勢などの非言語情報をフル稼働した、より自然なインタフェースの実現を目指しています。

|研究|音声をジェスチャに変換する仕組みの開発へ

現在、研究で取り組んでいるのはジェスチャ(身ぶり手ぶり)の自動生成です。人間はスピーチに伴ってほぼ無意識にジェスチャを産出していますが、実はジェスチャがないと話者のスピーチはぎこちなくなり、聞き手の理解度も低下してしまいます。そこで、音声をインプットするとキャラクタの自然なジェスチャが生成される仕組みを開発しています。
 音声データの解析によって各関節のポジションを予測し、会話に連動したジェスチャを生成(下図参照)。予測するリグレッションの部分は、機械学習を使っています。データドリブンアプローチといわれる手法で、人間のデータをたくさん収集し、それを機械学習することで音声⇄ジェスチャ変換器を作成しようとしています。

|教育|講義+ハンズオン/初期の対話システムの作り方

ソフトウェア通論

ドアの形状はいろいろですが、例えば取っ手が付いていると多くの人は引くと思います。それがアフォーダンスという考え方で、デザインから導き出される行為の可能性といった意味です。ただ、実際は取っ手が付いているのに押さなければならないドアもある。そうした人間が使うインタフェースの中で使いにくいデザインの総称のようなものとして「ノーマンのドア」という呼び方があります。
 コンピュータのインタフェースも、人が使いやすいことをベースに考えなければなりません。授業では身の回りにある使いやすい/使いにくいデザインの実例を見つけて発表してもらうなどインタフェースデザインの原則やインタフェースの歴史などの講義とともに、初期の対話システムの作り方などを実践で学びます。

工学部生命工学科 准教授 長谷川 大
人間が非言語情報から得る情報は、言語情報よりずっと多いという研究結果があります。言葉をもっともらしくする基盤にbelievability(生物らしさや人間らしさを感じること)があると気づき、人間とは何かという問いを横目に見ながら開発を進める面白さを感じています。

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