03
19 2021

<TOPIC 経営学部> コロナ禍の後輩を思い、行動を起こしたから気づけたこと。

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年春の新入生は、通常とは異なる大学生活のスタートを余儀なくされました。通学する機会がなく、相談もままならない中で授業の履修登録などをしなければならず、不安を感じている経営学部の後輩のために何かできないか。そう考えた篠田さん・宍戸さん・綿引さんは、「経営学部1年生サポートグループ」として、「Zoom」を利用して1年生の質問などに答える活動を始めました。そこから、3人共通の興味である英語に特化した企画や外部講師によるセミナーなども運営。先輩として「大学生活の中にあるワクワクを伝えたい」という意欲に満ちた取り組みは、自分たちにとっての新たな気づきにもつながりました。

経営学部1部経営情報学科3年 篠田 稜介 (北海道札幌平岡高校出身)
経営学部1部経営学科4年 宍戸 瑠伊 (北海道札幌国際情報高校出身)
経営学部1部経営学科3年 綿引 彩乃 (札幌自由が丘学園三和高校出身)

大学生活の不安を解消したい。

篠田さん

—この活動を始めたきっかけや思いはどんなことだったのでしょう?

篠田 コロナ禍で大学に来られずに新入生が困っていると、英語の授業を通じてとてもお世話になってきた石井晴子先生から聞いたことがきっかけです。大学に入ると、高校までは経験したことがない授業の履修登録があるので、僕も1年次はそこが特に心配でした。いつもならサークルの先輩などが履修や大学生活のちょっとしたことについて相談やアドバイスをしてくれますが、コロナの影響でそうした機会もなくなってしまったので、自分たちがその役割をできたらと考えました。

宍戸 僕は篠田くんから声をかけられ、彼が活動を始めたいと自主的に言い出したことにもすごく感動して、じゃあ一緒にやろうと。初回イベントを5月に「Zoom」で開催し、参加者からの質問に僕たちが答える形にしました。情報共有のためのオンラインツールも使って、その時に出た質問を文字起こしし、より詳しい回答が必要なものなどは後日、改めて投稿もしました。

綿引 私は留学を経て2020年春に3年次に編入したばかりだったので、いわば新入生のようでもありましたから、最初のイベントにはサポート兼参加者みたいな立場で関わりました。私も履修登録に手間取っていたので、具体的な手順やコツとか、授業を受ける時の注意点とかを聞ける場があって、すごく良かった。ほかの参加者からは、どんなアルバイトをしているのかなど大学生活についての質問もたくさんありました。

宍戸 このイベントを開催してみるまでは、実はそんなにニーズがあるとは思っていなくて。でも、1年生がいろいろな質問をしてくれて、自分たちのやっていることが少しでも役立っているんだと分かりました。

篠田 参加者への事後アンケートに「分からなかったことを聞けてスッキリした」「大学へ行くのが楽しみになった」という声があり、うれしかったですね。1年生の不安の解消と、大学生活に「ワクワク」を持ってほしいということを目的にしていたので、自分たちのねらい通りにもなりました。イベントに参加したことで次にどんなアクションを考えているかを聞く項目もアンケートに入れたので、参加者のやる気やワクワク感が見えるような言葉が出てきて、僕たちも読むのが楽しみになりました。

海外への関心を共有、発信。

宍戸さん

—2回目以降は、海外留学や英語学習をテーマにしたようですが。

宍戸 大学生活の不安や悩みに答える場はほかにも出てきたので、僕たちならではの強みを生かしたテーマに絞ることにしました。1年生からの質問でも英語についての関心が高く、僕たちは海外への興味や経験があったので、そこだったら質問に対して自信を持って答え、後輩たちの海外へ挑戦する気持ちの後押しもできると思ったんです。

—ちなみに、なぜ海外に興味を持ったのか教えてください。

篠田 僕は、石井先生の授業の影響がやはり大きかったと思います。先生がすごく楽しそうに話すんですよ、海外での経験を(笑)。それをずっと聞いていると、だんだん自分も行ってみたくなって。それで4年次は休学し、ミャンマーでフードデリバリーサービスのインターンシップを経験する予定でした。残念ながら、コロナの影響で行けなくなってしまったんですが。

宍戸 僕も石井先生の影響力が多大です。授業の中で先生が「世界青年の船」の話をいつも熱く語ってくださって、僕には無理だと思っていたけれど、先生がすごく褒めて後押ししてくれるのでチャレンジしてみるつもりでした。「世界青年の船」もコロナの影響で中止になってしまいましたが、30歳までは参加可能なので、チャンスがあれば行きたいと思っています。

綿引 私は幼い頃からずっと、日本から出てみたいという希望があって、中学の段階から海外を視野に入れていました。高校卒業後は英語に特化した専門学校へ進み、カナダに語学留学してからスウェーデンに留学。海外インターンシップも経験し、英語が話せると出会う人や世界がすごく広がると実感しています。将来的には海外の大学院へ進み、学んだことを日本に還元できたらと考えているところです。

—経営学部が行っている「グローバル人材育成セミナー」の運営も、活動の一環として担当したそうですね。

篠田 元国連職員の小宮理奈さんを講師に招き、東京にいる小宮さんと「Zoom」でつないで開催。事前準備から当日の運営・進行などまで、僕たちが担当しました。

綿引 小宮さんは難民支援の部門で活躍されていた方なんですが、そこに特化するのではなく、ご自身のフィロソフィーに焦点を当てたセミナーになりました。それはご本人のねらいでもあって、学生のモチベーションを上げられるような内容にしたいということで、何度かオンラインで意見交換もして、私たちの目的である「ワクワクを届ける」というところとも合致。すごく心に響く内容になりました。

「大学生活」は自分でつくるもの。

綿引さん

—活動のコンセプトでもある大学生にとっての「ワクワク」には、どんなものがあると思いますか?

綿引 大学の4年間という時間の中で、無限に挑戦でき、さらに自分の可能性を広げられることが、最もワクワクすることだと思います。私自身、留学から帰国し半年ほど働いていた時期に、学びたくても時間が取れなく、当たり前にあった「時間」の貴重さを痛感しました。だから、大学に編入しようと思ったんです。現在は、ぜいたくにも自分の学びや成長のために時間を使えているので、一瞬たりとも無駄にせず何かに挑戦したいと考えています。私の最初の挑戦は、編入を機に専攻を英語から経営学に変更したことでした。今まで知らなかったことを学び、社会に対して興味・関心を持つことができました。残りの学生生活では、興味のある分野の学びを深めていきたいと思っています。自分自身を知り可能性を広げ、社会とのつながりを持つという意味でも、4年間の大学生活にはワクワクするきっかけがたくさんあると思います。

篠田 先輩・後輩やゼミの仲間、いろいろな人に出会えることがあると思います。個人的には教授、中でも石井先生とこんなに親しくなれるとは思っていませんでした。それは先生の授業を受け続けたり、質問に行ったり、自分が行動した結果というところもあります。だから、どんどん積極的に先生と話すことをおすすめしたい。高校までの先生と生徒との関係性とは、全然違います。先生たちの広くて深い知識や経験に触れられるのは貴重です。

宍戸 大学は自由な時間がすごく多くて、何かに縛られることなく打ち込める。例えば僕は、音楽が好きでアカペラに熱中したり、ゼミで経営について勉強したり、プレゼンコンテストなどいろいろなチャンスにも挑戦しました。自分のやりたいこと、興味のあることに挑戦できる環境があるし、一歩踏み出せる自由がある。しかも大学には、それをサポートしてくれる先生も体制も整っているので、たとえ失敗しても大丈夫です。

—活動に取り組んで、自分にとって収穫になったと感じることは?

篠田 振り返る習慣がついたことが、自分の中では大きいです。イベント後には毎回、もっとこうしたらいいんじゃないかと話し合ってきて、その記録を見返す度に、書き留めていなかったら覚えていないなと思うこともたくさんありました。それで、記録を残して振り返られる状態にしておく大切さが身に染みたので、ほかの場面でもそうするようになりました。

宍戸 僕は、こういうイベントの企画とか何か人を巻き込む時には、徹底的な準備が必要だと学びました。失敗を少なくして、イレギュラーにも対応できるようにするために、企画の段階から当日まで常に情報をシェアして、小さなことにもしっかり気を配って準備すること。そうすると、当日も落ち着いて対応できますし、特に僕は細かいことが気になって緊張するタイプなので、準備しておけばパフォーマンスも上げられると気づきました。

綿引 主体的に動くことの大切さを一番感じました。この活動に参加してくれた人は、コロナ禍でも視野が広がったんじゃないかと思うんです。なぜそうなったかというと、行動したから。自分から行動を起こせば、きっかけがどんどん生まれて広がっていく。それを、私自身も学べましたし、参加者を見てもモチベーションやきっかけが生まれて、次の行動につながっていると思えます。

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