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31 2020

経営戦略は時代で変わる。 未来にふさわしい大胆な発想を。

経営学部経営学科 教授 今野 喜文 主な担当科目/ベンチャー経営、経営戦略Ⅰ・Ⅱ

学ぶのは、時代とともにアップデートされる経営戦略

―先生が研究する経営戦略は企業ではなく事業が対象だと。
 経営戦略とは、組織の成長・発展を目指し、そこに関わる人の士気をどう高めるか、組織そのものをどう効率よく動かすか、その作戦です。私は、この場合の「組織」について、企業という枠組みではなく、企業の中の「一事業」を単位として経営戦略を研究しています。例えば、国内のある大手酒造メーカーは、ワインやウイスキー、ウーロン茶といった飲料事業のほかに、バイオテクノロジー関連も手がけています。現代では多くの企業が多様な事業を行っており、事業ごとに経営戦略を立てています。

―同じ企業でも事業によってとるべき戦略は違う?
 そうです。経営戦略は一つではありません。成功した事業がマーケットを拡大し続けるにはどうするか、未成長のフィールドにおいて当該事業はどんな戦略をとるべきか、先発企業に追いつき追い越すにはどうすればいいかなど、企業規模や業界におけるポジションによって戦略は異なります。

―時代によっても経営戦略は変わりそうです。
 はい。消費者の嗜好の移り変わりや技術革新によってビジネス環境は大きく変わりますから。分かりやすい例では、スマートフォンの登場ですね。これによりカメラとか腕時計のメーカーはスマートフォンを意識せざるを得なくなりました。消費者や同業他社に注意を払うだけでなく、異業種から突如として現れる新商品にも目を配らなくてはなりません。

―経営学科では、民間企業のプロジェクトに参加する学生もいるとか。
 私のゼミに所属する3年生の多くが、さまざまな学外プロジェクトに参加しています。企業に出向いて業界分析を行ったり、持ち掛けられた課題に対して提案をしたり、中小企業の採用パンフレットの制作に携わったり。そうしたリアルな企業活動にふれ、大学では知り合えない大人と接して、多くのことを吸収してほしいと思っています。大学での学びがどう生かされるか確認できるチャンスでもありますしね。失敗しても良いじゃないですか。成功したらその背景を、失敗したらなぜ失敗したかその理由を考えれば良いんです。

広い視野を持ち、大胆な発想で時代を生き抜く人材に

―先生のゼミではどんなことを大切にされていますか?
 視野を広げることと、柔軟に発想することを重視した活動を心掛けています。ビジネス環境は近年猛スピードで変わっていきますから、過去の成功体験は通用しません。過去の事例を学ぶことは必要ですが、その事例から何を吸収し、直面する課題にどう活用していくか、を考える力がこれまで以上に重要になっています。

―ゼミの様子をもう少し具体的に教えてください。
 学生がグループになり、実在の企業について、業界分析と企業分析を行い、その企業の課題を探ります。その際、業界のことをきちんと調べているか、論理的に思考しているか、適切な理論に則って分析が行われているかを私は厳しい目でチェックします。でも、その先の課題解決のための提案については、ほとんど口を出しません。なぜなら自由かつ大胆な発想で、思い切ったことを提案してもらいたいから。それこそがこれから若い世代に求められている要素です。ゼミでは自由に発想、発言できる雰囲気づくりを心がけています。

―活気のあるゼミの雰囲気が思い浮かびます。
 学生たちは思いついたことを次々に発言するのでにぎやかですよ。みんな活発に意見を言い合います。ただし、否定はしない。間違いに気付いたら訂正しますが、訂正は恐れない。お互いに気を使わずに意見を出し合うことが意味のある時間になります。

―学生にはどんな姿勢を期待しますか?
 経営学の知識と発想力はどんな仕事に就いたとしても活用できます。これからの世の中、就職したからといって企業にぶら下がっていてはだめで、社員にも起業家的な思考力と行動力が求められます。公務員であったとしてもマネジメントやイノベーションといった要素と無関係ではいられません。そのためにも、この大学の4年間で、いろいろな人を巻き込んで、どんどん新しいチャレンジをしていってほしいですね。

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