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25 2021

<TOPIC 経済学部> 「GIS」の知識と技術で、地図を活用した 新たな課題解決の方法にアプローチ。

「GIS(Geographic Information System)」とは、地理情報システムのこと。さまざまな地理情報をコンピュータの地図上に分かりやすく表示することができ、自治体をはじめビジネスや研究活動など幅広い分野で活用が進んでいます。本学はこのGISのソフトウェアを用意し、操作技術や活用方法などを学ぶ講義を開講。前期の「地理情報システム論」で基本的な操作方法を身につけ、後期の「応用地理情報システム論」では学生が自分で設定した研究テーマについてGISを活用してまとめ、プレゼンテーションを行います。実習形式で、複数の担当教員が学生をサポートすることも特徴。さらに、GISを防災対策などに活用している自治体の職員を講師に招くなど、取り組みの実例に触れる機会も用意されています。経済学部の川内さん、小林さん、桑折さんは、それぞれ目的や興味を持って講義を受講し、身につけたGISの技術を活用して研究テーマと向き合いました。

経済学部1部地域経済学科3年 川内 康平 (北海道札幌平岸高校出身)
経済学部1部地域経済学科3年 小林 由和 (北海道札幌東陵高校出身)
経済学部2部地域経済学科3年 桑折 大哉 (北海道札幌琴似工業高校出身)

ゼミの研究テーマをGISでさらに分析。

—川内さんがGISを学んでみようと思った理由を教えてください。

川内 2年次のゼミ活動で、日本と日本人の印象について中国人観光客に聞くというアンケート調査をしました。そのデータをエクセルでまとめて、資料として活用する経験をしたことで、統計の定義や調査方法などをもっと詳しく知りたいと思うように。それで、GISに興味を持ったんです。3年次からは経済統計学が専門のゼミを選んだので、ゼミの研究テーマをGISを使ってまとめてみたいと思い、受講することにしました。

—では、ゼミの研究テーマをもとにGISを活用したということですね。

川内 そうです。ゼミでは「労働生産性と賃金の関係性」をテーマに、その推移を全国規模で見ました。そこから、その傾向が日本全体のものなのか、特定の地域に限ったものなのか、都道府県別で見たいと考えたのがGISでの研究テーマで、経済センサスなど複数の統計データをGISに落とし込んで、地図上に表しました。データの形式などに少し手こずりましたが、GISにデータを入れれば日本地図に色塗りして情報を表してくれるので、やはりパッと見ただけでも分かりやすいなと感じました。

—GISを使ってみて、どんなところに魅力やメリットを感じましたか?

川内 GISはデータを入れるだけで、伝えたい情報に合わせて地図上のエリアごとに色塗りされるのが、ほかのソフトウェアにはないメリットだと思います。手軽に情報を可視化できるので、操作技術を知っておくとプレゼンなど利用できる場面がいろいろあるのでは。基にするのは、誰でも利用できるオープンデータとして公開されているもので、エクセルのかたちになっているのを加工して使いますが、それは前期の講義でGISを扱うスキルを学べばできるようになると思います。後期になって各自がテーマを見つけて取り組むようになると、作成した地図データから何を読み取れるかがポイントになります。ただ地図にして出すだけでは意味がないので、そこからのまとめ作業がむしろ大事だし、難しいところ。地図にして見ると、自分の予想と全然違っていることも見えたりします。それがひと目で分かるのも、GISの良さだと思います。この授業は新しく覚えなければならないことが多いですし、いろいろな機能を使ってみたり、課題が少しずつ出来上がっていったり、毎回、変化や発見がありました。僕にはそれが楽しかったですね。

地域研修の経験をもとに、北見と帯広を比較。

—小林さんがこの授業を履修したきっかけは、どんなことでしたか?

小林 1年次の授業の時、現在の所属ゼミの先生がGISのことをよく話してくれたので興味が湧き、2年次になったら受講しようと考えていました。そういうソフトウェアがあることを初めて知ったので、面白そうだなと思ったんです。コンピュータにはあまり詳しくないので少し不安でしたが、この授業には毎回、先生が複数で入ってくれるので分からないところを聞きやすいですし、コンピュータのスキル的にはそんなに心配せず受講できると思います。ただ、エクセルは重要ですね。GISは地図のデータと、エクセルで作られた統計データなどを組み合わせて使うので、基本的なことは知っておいた方がいいと思います。GISはいろいろな機能があるので、まだまだ分からないこともありますが、成果が地図として表現されていくのを見られるのは面白かったです。

—今回のテーマには、地域づくりの現場を訪ねて学ぶ「地域研修」に参加したことが関連しているそうですね。

小林 そうです。僕の所属しているゼミは、北見・オホーツク地域の活性化とは何かが地域研修のテーマで、北見市へ行って企業や農家の方たちから話をうかがいました。その時に、ブランド化されている十勝・帯広との違いについての話がよく出ていたので、北見と帯広のデータを地図上で比較してみようと思いました。国勢調査や農業センサスのデータを基に、65歳以上人口の割合や総農家数、経営耕地面積などの数値から、GISでまとめていく作業をしていきました。それらのデータから、両地域に差が出てくるかを見ていこうと考えたのですが、なかなかうまく結果を導き出せませんでした。技術的なことより、むしろこの点がGISの難しさだと思います。GISというツールを使って、何を示したいのか、表現したいのか、そこが肝心だと先生たちによく言われてきましたが、それを実感しました。

—でも、その経験も含めて収穫はあったのですよね?

小林 はい。北見・オホーツクと十勝の比較は、ゼミでも今後の課題になっているので、次は十勝へ調査に行く計画があります。実際に訪ねた時には、今回、GISのデータをまとめたことで得られた知識を少しでも役立てられればと思っていますし、反省点をもとに新たな視点も持って調査できるのではないかと考えています。

“公務員”の視点で、防災を考える。

—桑折さんは、公務員志望であることがGISを学ぶきっかけの一つだったとか。

桑折 はい。僕は一度、民間企業に就職してから社会人入学したので、その時に自分の将来について改めて考えたんです。それで、アイデアを発案したり企画したりするのが好きだし、地域づくりに関われるような仕事をしたいと思って公務員を志望し、この学部で学ぶことにしました。GISは、自治体が災害対策などの業務に活用している例も多いようなので、技術を知っておくと役立てられることもあると思ったのが履修のきっかけの一つです。でも、もともと地図が好きだったことも大きな理由です。道路マップ見たりするのが好きで、子どもの頃は自分で空想のマップを作ったりもしていました。それを、趣味としてだけではなく、就職してからも使えるような知識・技術につなげたいと思って学んでいます。

—研究テーマはどのような内容のものにしたのですか?

桑折 防災マップを用いた道路改造計画をテーマにしました。国土交通省の国土数値情報というデータをダウンロードして、例えば土砂災害、地すべり、土石流が発生しやすい箇所などそれぞれ色を変えて地図上に表示。それをもとに、その危険なラインを迂回するトンネルを計画したり、落石を防ぐシェルターや覆道を設置するという想定のマップを作っていきました。対象エリアは、自分の地元の千歳市。実は就職先として千歳市職員を第一志望に考えているので、そこを意識したテーマ設定です。環境経済論など環境問題についての授業も履修しているので、千歳にある支笏湖は環境がとても豊かなところですから、それについての視点も取り入れて研究したいと思っていました。ほかにも、大学で学んでいるいろいろな分野の情報を地図に落とし込んで、GISを活用した自分なりのマップを目指しました。

—この授業には、GISを活用している自治体職員の講演などの機会も組み込まれているそうですね。

桑折 そうなんです。公務員志望の僕にとっては、GISの実際の活用事例を聞けることももちろんですし、公務員としてどんな仕事をしているのか知ることができるのは非常に参考になります。これまでそういう機会はなかったので、この授業はGISを扱うことができて地図好きとしてとても楽しかったですし、公務員を目指している立場からもとても役立ちました。

室蘭市職員によるGIS活用例の紹介