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11 2023

「北海経営」で学ぶのは 英語の「使い方」。

経営学部 内藤 永 教授

経営学部は、ビジネスの現場で「使える英語」に絞ったプログラムを展開しています。英語は苦手だと思っていても、「それは英語学習が苦手なだけであって、意外としゃべれるんですよ」。そう話す内藤先生が開発したのは、中学生レベルの英語で目の前にある物事を瞬間的に伝える訓練方法。これで学生は、「しゃべるコツ」をどんどん身につけていきます。

持っている知識で、どう表現するか。

—経営学部で学ぶ英語は、特徴的だそうですが。

「北海経営」の英語は、卒業後に海外取引のある企業に勤めた場合に英語を使って仕事ができる「実務英語」の習得を目指していることがかなり特徴的だと思います。学校で成績優秀とか、TOEICで900点とかいうことと、仕事の現場で英語を使えることとはまるで違うもの。そうしたことを意識して、高校までとはまったく違う教育を行っています。英語は勉強するものではなく使うもの、使って何をするの?ということなんです。私の専門は「English for Specific Purposes(ESP)」という応用言語学・英語教育の1分野。社会の現場で使用される英語には、それぞれの現場特有の言語学的特徴が表れると考え、その特徴を研究し、どう教育すれば英語習得しやすいのか探求しています。この研究を発展させたのが、中学生レベルの片言英語を駆使して目の前にある物事を瞬間的に伝える訓練方法です。

–それは、かなり有効な訓練なのでしょうか?

自画自賛ではありますが、学生はほぼ半期のうちに、英語をペラペラしゃべっているように”見える”ようになります。そこから訓練するほどに、上達していきます。学生はみんな英語の知識はいっぱい持っているけれど、これまでしゃべるコツの勉強をしていないんです。「しゃべることがある」というのが大きなポイントです。ですから、世間話は最難関。それなのに、英会話学校ではそこから始めるから難しいんです。共通の話題をどうつくり出すかが問題で、そのトレーニングをするのが私が開発した教材「9マス英会話」です。

–これまでの英語の勉強の考え方とは、大きく違いますね。

そうですね、発想の転換が必要です。高校の出前授業で、デモンストレーションとして「2マス英会話」(※写真)を行うことがあります。LeftとRightを示して、例えば17と60を英語で相手に伝えてと言います。海外では一般的に、SeventeenではなくOne-Seven、SixtyではなくSix-Zeroと言うので、191と203はOne-Nine-One、Two-Zero-Three。次の図は、Left side pink box, Right side circle One-Sevenと言えばいい。これを体育館などで行うと、生徒たちは面白いから伝えようとして盛り上がります。伝わったかどうかは、相手を見れば分かりますよね。英語を文法的に話すとかではなく、伝われば正解という立場。持っている知識で、どう表現するかということです。

–伝わると、英語が楽しくなりますよね。

ええ。実はこの「通じる経験」というのが、英語が上達する唯一のポイントなんです。英語ができるようになった人たちを調べていくと、ガリ勉タイプで勉強した、留学した、英会話教室に行った、とさまざま。では何が共通項かというと、若い時に「あ!通じた」という経験を持っているんですね。あの時、通じたんだからここでも大丈夫と思える。その経験をさせてあげるのが英語教育で、実務英語の重要なポイントなんですよ。

英語は道具。特技を伸ばそう。

–先生のゼミナールでは、英語を使うのが前提にあるんですか?

英語は単なる道具なので、それよりも自分の特技を伸ばすことに特化しています。その特技を伸ばす上で、英語が障害にならないようなマインドセットが私のやっていること。だから教え子たちは、英語はできません、しゃべれませんと言いながらも、海外で仕事をしています。ちなみにゼミではこれまで、台湾・ベトナムのスイーツ調査を踏まえてお菓子の開発と展示販売会、企業の英語ホームページ作成、海外商談会の通訳派遣、アメリカ大使館でのインターンシップ、北海道のジビエに関わる政策提言、中古車貿易の市場調査などを行っています。

–ゼミで大切にしているのは?

(1)自分の頭で考えて抽象・具体の思考を身につけること(2)他者の存在を意識したコミュニケーション能力を磨き実際にプロジェクトを行うこと(3)多様な背景を持つ人が集まる社会で協働し成果を可視化していくこと。これらを磨くために、ゼミの中で学ぶと同時に、各自の興味に合わせた活動を国内外で行っているわけです。自分で考えなさい、やりなさい、という訓練をずっとしています。社会で生き残っていくスキルを教えているんです。ゼミ生は、自分が読んだ新聞や雑誌の内容を週に2本グループLINEに投稿することになっています。記事を見つける、要約する、その要約に対して自分の考えを書く、それに対してほかの学生がレスポンスする。これを続けると相当な情報量になるので、就職活動の一般常識的なものはカバーできますね。私は、全部の記事に対してコメントします。しかも即レスです(笑)。

–ほかに、学生たちに伝えていることはありますか?

時空(「過去・現在・未来」×「自己・他者・社会」)に生き、活動の成果を可視化する。それを常に意識するように伝えています。人間の特徴って、過去・現在・未来の時間軸に生きているということだと思うんです。過去があり、今をきちんと生きて、未来を創造していく。それも自分だけではなく、他者と一緒にできるか。さらには、他者と他者が結びついてコミュニティが形成され、人間関係のつながりがある。つまり時間と空間の両方を持って生きることに、人間らしさがあると思うんです。だから、今やっていることを考えるときに、そこに時空はあるの?という聞き方を学生にもします。将来ビジョンはどうなっているの?過去に誰にお世話になってそれが成り立っているの?と考えていくと、人間らしい行動ができると思っています。

経営学部 内藤 永 教授
[専門分野]English for Specific Purposes(ESP)、英語学  [主な担当科目]総合実践英語

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